★小説〜伯妖現代版〜★

□5〜真夏の海は恋の予感?〜
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今日もあいつ、いるかな?
ロタは授業が終わると、真っ先に美術室に向かう。
夏期休暇に入る前にテストがあるため、みんなはさっさと寮に帰って勉強している。
そのせいか。
今学校にはあまり、生徒は残っていない。
美術室のドアを開けると、熱心にスケッチブックに向かって、絵を描いているのが後ろ姿からでも分かる。
なるべく静かに、彼に近づいたつもりだったのに。

「やあ、ロタ」

彼は後ろを振り返って、いつもの笑顔でロタに挨拶をしてきた。
ロタも思わず、笑顔になる。

「よくあたしだって、分かったなポール」
「分かるよ。ロタの歩き方って特徴あるから」

その言葉を聞いて、ポールとの距離が縮まった感じがした。
嬉しい。
ポールと少しでも話しがしたくてロタは、週に何回か、ここへ来るのが習慣になっていた。
ポールはとても、優しい。
初めて会った時も、そうだった。





                  
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