★過去のお礼小説〜★

□〜“現代版伯妖”〜{ミニ小説}
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∞〜過去のお礼文〜∞
〜現代版伯妖〜(ミニ小説)
{期待……}





「僕からのキス、どこにしてほしい?」

突然……、何言い出すのよ!
以前のリディアならそう言って、エドガーを睨みつけているだろう。
でも今は、それが出来ない。

“僕からのキス、どこにしてほしい?”

今リディアの頭の中は、この言葉がずっとこだましている。
キスって言えば、やっぱり唇?
それとも、頬?
あ……でも、この前見た雑誌では、そんなのは古いとか書いていたから……。

「もしかして今、想像してた?」

はっと、現実に戻った。
そう言えば自分はキスのことばかり考えていた。

「なっ……何言って……」

彼との距離が近すぎだ。
さっきからリディアは彼から離れるために、横に横にと、ずれていっているためもう、これ以上は横に寄るのは無理だ。

「え、えっと……、エドガー。あの……」
「目を閉じて」
「えっ?」
「きみからの返事待ってても無理だと分かったから、僕が決める」

ちょっ……ちょっと何それ?
自分から聞いたくせに、なんて自分勝手なの!
あたしだって理想のキス、あるんだから。
あれっ?
ちょっと待って!
これではエドガーにキスしてくれと、ねだっているようなものだ。
彼の唇がリディアに、迫ってくる。
エドガーはどこにキスをするのだろうか。
彼からのキスに期待するなん……て。
……目を閉じなきゃ。
そう思った時、ドアの叩く音がした。

「せっかくいい所だったのに」

エドガーはリディアから離れて、ベッドから立ち上がる。
その瞬間、リディアの全身の力が一気に抜ける。
そんな2人の様子を目撃したロタは、質問をしてくる。

「ちょっと待っててくれと言ったきり、なかなか帰ってこないから見にきたらどういうことだ?」

確かさっきエドガーは、2人には先に行ってもらったってリディアは聞いた。
ということは、彼はリディアに嘘をついたことになる。
どうして?
もしかしてはじめっからエドガーは、リディアにキスなんて、これっぽっちもするつもりはなかったのかもしれない。

「見ての通りだよ。ねっ、リディア」

笑顔でリディアに喋りかけるエドガーを見て、段々と腹が立ってきた。
あたしはこいつに、からかわれた!
リディアはロタの方をくるりと、向いた。

「ロタ、あたし別荘に行くのやめるわ!」
「えっ……?ちょっと、リディア待てよ」

ロタが引き止めるのを振り払い、そのままリディアは部屋を出て行った。




                  
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