★小説〜伯妖連載〜★
□そばにいるだけで……
2ページ/11ページ
「……まあまあ、だな」
「そう?あたしは、おいしいと思うけど」
ここはマッキール家の氏族長が所有する別荘。
リディアは3年前に、フィル•チリースの刃の受けた治療のために、この別荘に滞在中だが、それは1ヶ月前の話しで、今は……
「リディア、今日は天気もいいから、散歩にでも行かないか?」
ノックもなしに部屋に入ってきたのは、氏族長の息子、ファーガス。
「えっ……でも……」
足を組んで紅茶を飲んでいるニコの方を、ちらっと見る。
「おれは留守番してるから、行ってこいよ」
えっ?一緒に来てくれないの?
本当の所リディアは、ファーガスとはなるべくなら、2人っきりにはなりたくはなかったので、ニコについてきてもらいたかったのだが……。
「リディア、早く行こうぜ」
勝手にリディアの腕をつかんで歩き出したので、それに引っ張っられるように、リディアも歩き出した。
ニコは前足でひらひらと振って、見送った。