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*ひるどらどろになる予定!ちゅういです!
おさないころ、自分はどこで生まれたとか、親はだれなのだとか。
そんなことは覚えていなかった。
ただ気が付いたらあの人の家にいて、俺はそこで育てられたのだということしか。
ずっと片思いで、ずっと慕ってきた。
それは自分でも気付かないくらいのほのかなかすかな想いだった。
けれど、16になった俺はそこまで恋だとか愛だとかそんなものは虫酸が走るほどでしかなかったし、あの人よりも素晴らしい男など回りにはいなかった。
(当時はがきんちょばかりだったから当たり前といえば当たり前だが)
自覚したのはあの日、古いけれどもマンガではよくあるお風呂でばったり事件。
思春期だったというのも手伝って恥ずかしさでいっぱいだったものの、その時にあの人がいった言葉がとても嬉しかった。
俺も一人の女性だと見られていたんだ、と。
気付いてとても複雑な気分になった。
あの人は、おさないころから俺の面倒をみてくれたいわゆる育ての親というもので。
はっきりいって俺とその人とは本当の親子ほどの歳の差もあるのだ。
それに咄嗟にでたあの人の言葉はそれこそ本当の一人の女性としての気遣いからくるものだろうが、それはアレだ。
俺が一応女の子だからだ。
もしかしたら、ただ小さかった子供がいつの間にか大人に…という心境かもしれない、というよりそっちのが近いだろう。
あの人だからな…。
悲しいがあの人はモテるし、女の子がだいすきだ。
俺の前ではある程度バレないよう隠してるつもりだろうし、実際12歳までは分からなかった。
あの人の女性が家にくるまでは!
それはそれは幼心程度によくよく覚えていて、とてもこわかった。
誰がなんてわかりきった答えだろうが、その女性がこわかった。
それから何人もの綺麗な女性と付き合っているということを知ってショックをしたものの、その中に自分を入れてもらえるんじゃないか、と我ながらバカな考えが一瞬過ぎったがすぐに打ち消した。
だってあの人は自分にそんなことを望んではいないから。
ただけして無邪気、とはいえないが、
あの人が望むような親と子の関係でありたかった。
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