長編
□第二章、再会と運命
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道中…
明日夢はヒビキの馬の後ろに乗せてもらっていた。しかし、ほとんど初めての馬。明日夢は必死でヒビキにしがみつく。そんな明日夢を見て、ヒビキは笑った。
「ハハハ!怖いのか?」
「だって…ほとんど初めてなんですよ…馬に乗るのは。」
気が付けば、明日夢は泣きそうな表情になっている。ヒビキは余計に笑った。
「わ、笑わないでくださいよ〜!」
哀れにもわめき続ける明日夢に堪えかね、ヒビキは馬の速度をおとした。
「…大丈夫か?」
「ハイ…何とか…」
明日夢は、もうへとへとだった。その時…彼の視界に白い衣の僧侶らしき人が飛込んだ。厳格な表情に青い瞳…
「ト、トウキさん?」
「ん?」
その人は明日夢の声に反応し、立ち止まって振り返る。
「あ!トウキ?」
「ヒビキ!?」
その人は北の国、北海道出身の鬼、トウキだった。
「どうしたんだ?こんな所で…」
「いや、ちょっとコレをな…」
そう言うとトウキは懐から薄汚れた紙を取り出す。
「えっ?ウチに来たのと同じ!?」
それは、藤兵衛の家の戸口に黒羽の矢とともに届けられたものと全く同じだった。
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