長編

□第四章、いざ四国へ
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「……穏やかだね…。」



船に揺られながら、イブキが呟いた。一行が今いるのは、本州と四国に挟まれた穏やかな海、瀬戸内海。空は快晴、風もそよ風程度と、至って快適かつ順調な旅を続けていた。山育ちで船に慣れないゴウキも、ほっとしたのか甲板で横になっている。その隣ではニシキ、ナンキ、キラメキが日向ぼっこをしていた。

「ガキじゃあるまいし……。」

「まぁまぁ、いいじゃない。」

妙な光景を見て溜め息をつくイナナキをシキがなだめる。

「それに、この先何が在るか分からないんです。今の内にのんびりしとかないと。」

軽く欠伸(アクビ)をし、船室の奥に引っ込むシキをイナナキは呆れたように見つめた。

明日夢は初めての瀬戸内海に感激し、ヒビキに肩を叩かれるまで海をじっと見ていた。

「この向こうにも鬼がいるんですね。」

「あぁ。いるといいんだけど。」

二人で並んで眺めていると、船長らしき中年の男性がやって来た。

「どうだい?瀬戸内海は。それにしても、アンタ達は運がいい。俺たち安芸の猛士は発足したばっかりだったからな。いや〜、お役にたてて嬉しいよ。」



ヒビキ達はちょうどイナナキの知り合いにいた猛士の人達に船を出してもらい、こうして四国に行こうとしていた。


「ありがとう。いいね、この海は。さほど大きな波も………」

と、ヒビキが言いかけた時………。

突然ガタンという音と共に、船が大きく揺れた。


「な、何だ!?」

ヒビキと船長は、船尾を見て驚愕した……。

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