東方幻想狩り
□二次狩り
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米屋、八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、etc……
自戒とアキは人里の各地にある店をまわる。そして買い物袋が両手いっぱいになったところで永遠亭に戻り、また人里へ向かう。
それを二度、三度と繰り返すうちに、自戒とアキには少しの差が出ていた。
それを確認できたのは四度目に、両手いっぱいの荷物を持ったアキが永遠亭の入り口まで戻ってきたときだった。
「お先に」
その横を駆け抜けて自戒が通り過ぎたのである。
「くそ、まだだ!!」
アキも負けじと荷物を永遠亭の因幡に渡して人里へ向かう。
二人ともメモの殆どにチェックがつき、おそらくはあと一往復で勝負がつくだろう。
そして人里についたアキは自戒との差を埋めようと必死で走る。
しかしその買い物中、アキは人里を出て行くところの自戒と目が合ってしまった。
「負け……か……」
アキは小さな声で呟く。
だが、まだ決まったわけではない。もし、自戒が妖怪に襲われたりして足止めをされているならばまだ勝ち目はある。
アキは両手いっぱいに買い物袋を持ち、走りながら人里をあとにした。
永遠亭までの道。何度も何度も通った迷いの竹林。違いは、夕陽が沈みかけていることだけであった。
その道を、また何事もなく駆けて行く。
〜永遠亭〜
アキは肩で息をしながらも入り口まで走りついた。
そして、さっきと同じように近くにいた因幡に荷物を渡す。
「自戒はもう帰ってるよな」
荷物を渡した因幡の一人から賭けの勝敗を確かめる。
「いえ、まだ帰ってませんよ」
「……え?」
アキは自分の耳を疑った。
それは僅かな希望が本当の事になったからだ。
「よっしゃあ!!」
アキはその場で勝利のガッツポーズをする。
周りの因幡たちは頭に?を浮かべていた。