東方幻想狩り
□二次狩り
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米屋、八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、etc……
自戒とアキは人里の各地にある店をまわる。そして買い物袋が両手いっぱいになったところで永遠亭に戻り、また人里へ向かう。
それを二度、三度と繰り返すうちに、自戒とアキには少しの差が出ていた。
それを確認できたのは四度目に、自戒が永遠亭から出るときに両手いっぱいに荷物を持ったアキの横を駆け抜けたときだった。
「お先に」
とアキに言った自戒は勝利の予感を感じながらも人里へ走って向かった。
二人ともメモの殆どにチェックがつき、おそらくはあと一往復で勝負がつくだろう。
そして人里についた自戒はアキとの差を埋められまいと必死で走る。
そしてすべての買い物が終わり、自戒は人里を出て行くときに買い物中のアキと目が合った。
「勝った……」
自戒は小さな声で呟く。
だが、まだ決まったわけではない。もし、自分が妖怪に襲われたりして足止めをされたら負ける可能性はある。
自戒は両手いっぱいに買い物袋を持ち、走りながら人里をあとにした。
永遠亭までの道。何度も何度も通った迷いの竹林。違いは、夕陽が沈みかけていることだけのはずであった。
しかしその道に、黒マントを羽織った初老の男が存在していたのだ。
その驚きに、自戒はその場で立ち止まった。
「……外来人」
「――っ!?」
初老の男は低い声で呟くように言う。
その声には、確かに強い『殺気』が込められていた。
ドサリという音が幾つも連なりながら冷たい地面に落ちていく荷物。
「う、《動くな》」
自戒は有りったけの力を言霊に込めて初老の男へ言い放った。
「………………」
初老の男は、その場でピタリと立ち止まった。