東方幻想狩り
□二次狩り
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〜永遠亭〜
「遅い、遅すぎる」
すでに空に太陽は存在せず、月だけが強く光り輝いている。
アキは同じ部屋で寝ているトラを横目にP○Pのモン○ンをプレイしていたが、自分が追い抜いたはずの自戒の帰りがあまりにも遅いので、だんだんと心配になってきていた。
だが、夜は妖怪が一番活発に活動する時間。いま、外に出るのは自殺行為である。
アキはモヤモヤとした気分だったので、とりあえずトラを起こすことにした。
「ふわぁあああ…………あれ?」
「あ、起きた」
ちょっと揺すっただけで簡単に起きたので、アキはまたモヤモヤとした気分になった。
そして長い眠りから覚めたトラは状況を把握するため、数秒間フリーズしたあと――
「すいませんでした!!」
勢いよく土下座した。
結局、トラは自戒とアキに自分の分の買い出しをさせてしまったのだから当然のことだった。
「ん? ああ、別にもういいよ。それより聞いてくれよ、実はさ――」
本当はよくないのだが、今のアキは自戒の心配で頭がいっぱいだった。
まさか妖怪に襲われてそれで――
と最悪の可能性も頭をよぎる。
「お二人共、ご飯ですよ」
しかしタイミング悪く、因幡が部屋へ入ってきた。
……いや、逆に都合がよかったのかもしれない。
自分だけで考えるより、もっと力のある輝夜や永琳に相談した方がいいかもしれないからだ。
それに、輝夜も自戒の事を心配しているのだろう。
「わかった、すぐ行く」
「はい。あ、場所は大広間ですから。では、私はこれで――」
「あ、ちょっと待ってください」
立ち去ろうとした因幡をトラが呼び止める。
「自戒さんが居ないんですが……」
「あっ……」
トラの質問に思わず声を漏らしてしまった、アキ。
「えーと……私はお二人を呼んでくるようにと永琳様から言われただけで……」
因幡は困ったような表情で答える。
「そっか……」
「すみません……では、私はこれで」
因幡はそう言うと部屋から出て、どこかへ行ってしまった。
「じゃあ、行きましょうか」
「ああ、うん」
続いてトラとアキも部屋を出ていった。