ぜろ部屋

□小ネタ集
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主人公はセコムを召還したようです


※へんたいディルVS拙宅安定のわんこ

※ランサーVS小太郎とかぷめぇという管理人の下衆思考がバーストした結果

※ランサーが残念すぎる変態かつ主人公が阿呆なだけなのでご注意下さい。



僕のサーヴァントは変わってると思う。

喚び出した時からずっとなんだけど、なんかおかしい気がする。
ちゃんとお客様用の布団を用意してるのに朝はいつのまにか近くにいるし、お話する時の距離が妙に近い。耳が遠いんじゃないかと思うくらい近い。おじいちゃんか。


「ランサーさん、なんか近い」

「これは主をお守りするためです!」


後ろから覆い被さるように僕を抱きしめるランサーさんに断言されてしまった。ぶっちゃけ動き難いんだけどな。
昨日ウェイバーに相談したところ「え、ええー……」とすごく可哀想なものを見る目で見られた。解せぬ。


「通報……は、できないな。サーヴァントだもんな……」


ウェイバーは俯いてなにやら呟いた挙げ句に僕の両肩をがっしと掴んで、


「いいか、なんかあったらボクの所に逃げて来い(無駄かもしれないけど)!それか令呪使え!」


と、かなりマジな顔で言われた。こんなくだらないことで令呪て。


「主のお髪(ぐし)の感触は今日も仔猫のようです愛らしいですくんかくんか」

「匂いかぐのは勘弁して下さい」


僕の耳殻あたりに鼻をうずめてはふはふしているランサーさんのおでこを一発はたいてげんなりする僕だった。なんか違う。これサーヴァントとの距離違う。
「主から触れて頂いてしまった……」となぜかきゅんきゅんしているランサーさんにふと思いついたので言ってみた。


「もしかして、魔力が足りない?」


枯渇しかかってるからこう……妙な行動に走っているのだろうか。


「強いて言うのならば主が足りません」


ドヤァ、という顔で言われてしまった。えー。

まぁなんというか、終始この調子だと大型犬に懐かれてる感しかなかったので放置していた僕だったのだけど、緊急事態が発生してしまった。

もう英霊はあらかた現界済みだし変なことも起こらないだろう、と後学のためにと件の英霊召還のプロセスを研究するべくさっき描いておいた魔法陣を調べていると、めげずに僕の背中でひっつき虫をしていたランサーさんの腕がお腹に回り、


「主……」


べろり、と首筋に生暖かい感触。


「ぎゃあ!?」


奇声を上げて咄嗟にランサーさんの腕からすり抜け壁に背を向け威嚇姿勢(動きだけなら負けない)。


「ちょ、なんですかいきなり!」

「いえ、ちょっと主をくまなく舐め尽くしたいという欲望が火を噴いてしまいまして……」

「なんという正直さ!でも聞きたくなかった!」


興奮しているのか若干息が荒いランサーに実に迅速な動きで両脇を持ち上げられ、そのままランサーの曲げられた膝にin。後ろが壁で押しつけられている形である。

しかも、ランサーさんの足が長いので僕の両足は宙ぶらりん=だが にげられない!


「主、これは供給です」

「なんぼなんでも嘘だとわかる!あとランサーさんの魔力状況くらい把握してるもんね、残念!」

「魔力ではありません、私はただ清廉で無垢な主を私の手で穢したいだけで……」

「なお悪いよ!シャイニーフェイスで馬鹿正直に言うことか!?ッひゃ」


僕の頬にランサーさんが問答無用で自分のそれをそっと寄せる。親愛と、どこかぞっとするような感覚が体温に混じる。

やばい、なぜか味方なのにピンチだ。どこで選択肢を間違えたのだろうか。


「う、うわぁん味方にうらぎられた!ウェイバーへるぷみー!」

「主は羽根のように軽いですねその子兎のような(略)小さな唇も白磁の頬も(略)その案外ふにふにしてない腿で俺の(略)」

「なんか聞いちゃいけない類のワードが飛び出してた!も、誰でもいいからたっけてくださーい!!」


聞きたくなかったランサーの本音にマジびびりして思わず叫んだ――瞬間、空気が爆ぜた。
咄嗟に視線を向けると、さっきまで調べていた魔法陣に光が奔り、星屑を煌めかせながら中空を乱舞する。

ばちばちと火花が弾け、最後の仕上げとばかりに一陣の、風が――


「!?」


気付けば、僕は『誰か』に抱えられてランサーさんの前に移動していた。
引き寄せられた胸板は硬く、引き締まった体躯はしなやかでどこか肉食の獣のようだ。そしておそると顔を上げれば、赤錆色の髪。目元の窺えない兜。

あまりにも見覚えがありすぎる。

ランサーに向けてだろう、濃厚な殺気を溢れさせる『彼』の名前を、僕は半ば呆然と呼んだ。


「こ、小太郎……?」


風魔小太郎。

過去、共に戦国時代を駆け抜け、自分を守ってくれた大切な人が、何かの冗談みたいにそこにいた。




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