ぜろ部屋

□作戦会議ごーごー
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間桐雁夜の体力、魔力ともに減衰していて『バーサーカーも出てこれない』という前提がないと、話し合いが成立するかどうかも怪しい。
そこでふと、ランサーがいかにもしぶしぶといった様子で小さく挙手をした。


「主」

「はい、何かねランサーくん」


わざと教師ぶった口調で澪が返せば、ランサーが視線を泳がせながら意見を述べた。


「以前、俺に『力』を分けて下さった時のようにする、というのは……」


あんまりにも苦渋に満ちた言い方なので、何がそんなにイヤなのかとじゃっかん思ったが、とりあえずスルーしてペン先でチラシをこつ、と叩いた。


「ああ、あれかー」


そしてちょっとだけ考え、首を横に振った。


「あれはさ、ランサーさんは僕が願って、僕が喚んだって前提があったからできたことなんだよね」


明確に自分と『繋がっている』と確信できたからこそ行えたことでもある。

たとえばの話、ウェイバーがライダーに供給する魔力に困ってばたんきゅーしてしまったとする。それに手助けしようと思った場合、ライダーに直接澪がランサーにしたように『力』を分けるよりも、ウェイバーにした方がずっと効率も良いし馴染むだろう。陳腐な物言いをすると、澪の人への力の行使には『縁故』が殊に重要なのだ。どんな形でも繋がり、それが深ければ深いほど澪の能力はうまく効力を発揮できる。

故に、見ず知らずの男に施すとなるとかなり事情が異なってくる。


「体力方面だけに振り分けできればいいけど加減がうまくいかないかもしれないし、間桐さんの中の虫が体力の前にそれ吸って異常活性化とかしちゃった場合……間桐さんの身体が耐えられないんじゃないかな」


虫には獣のように餌を選別する理性はないだろうし、それでは意味がない。
最悪の想定をして、自分の想像にぞっとしながら澪は言葉を落とした。


「下手すると、バーサーカー出てきた挙げ句に間桐さんがこう、ド○ゴンボールみたいになるかも」


両手でぱっ、と散らばるような手つきの澪。


「?」


ランサーの疑問符が浮いた顔にしまった、と取り繕うように苦笑を浮かべてとんでもないことを言った。


「無制限に虫が増えた結果、血管とかから爆裂四散する」


クリ○ンのことかー。


「今の言はお忘れ下さい」


キリッとランサーが断じた。そりゃそうだ。


「んー、でも、そうすっと虫が一番の癌だなぁ」


結局はそういうことになる。数を減らすなり、しばらくの間でも雁夜に悪さをできないようにしないことには話が始まる前に終わってしまう。


「ランサーさん、虫ってどうやって駆除する?なんでもいいから言ってみてくれる?」

「虫、そうですね……」


話を振られ、ランサーは形のいい顎に指先を当て何やら思案顔。


「夏場などは砂糖に蟻がたかるので、蟻塚に水を流したりとかはしましたね。あとは火で追い散らしたり」

「そうだよね、でも水でも火でも間桐さんが虫より先に死んじゃいそうだ……あとは燻蒸とか?あ、蜂バスターの人が掃除機で吸ったりしてたのは前にテレビで見たことある。いっそ間桐さんの口に掃除機突っ込んでみようか……虫、虫かー」




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