しょうせつ
□削げ墜ちた腕
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ファントムが居なくなって、もう5年が過ぎた。
すっかり自分の居場所になってしまった共同墓地の中、群を抜いて立派な墓の傍らにペタはいた。
もうそろそろで夜が明ける。
ファントムがいつ甦っても良いように、と眠らないのを心がけていたら、いつの間にか眠れない躰になってしまった。
そういう事柄を改めて考える時、ペタは5年という大きな月日が巡った事を思い知らされるのだった。
果てもなく青い蒼窮が広がっていた。
地面に片腕を失ったファントムを転がして。
初めは、なかなか起きあがろうとしないファントムを、彼の冗談なのだと思っていたけれど、予想は外れていた。
戦場に着いた時、ファントムは本当に死んでしまっていた。
空も風も、総てがすがすがしく遠い青をしていた。
最悪の天気だと思った。