しょうせつ

□わたしの
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初めてその人を見たとき、私は激しく驚いた。

「これがファントムよ」

彼を紹介する、女王の声すらも、もう耳へは届かない。

「はじめまして…ペタ、だよね」


まるで小さな子供だ。

細くて、触れる事すら躊躇われる躰。

髪から肌に至るまで、色素はどこまでも薄く。

大きめの目はころころとしていて、世界を崩壊させる為に作られた組織の頂点に君臨する者のそれとは、到底思えない。

怪人という、末恐ろしい名前をしているくせに、笑った顔はひどくいたいけで。

目の前の彼を、私は本当に子供としか思えなかった。

「よろしく」

微笑みを形どる唇。

差し出された、細すぎてまるで肉のないような腕。


果たして彼は、私の望むものを作り出してくれるのだろうか。

果たして私は、彼について行く事が正解なのだろうか。


もやもやと考えつつ、敵意のない事を示すように、私も腕を差し伸べた。


おずおずと。

(その後、彼が私にとっての神になるだなんて、あの時の私には知る由もなかった)



***
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