しょうせつ
□小鳥、薔薇の華、永遠のゆくえ
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朝、城の庭に作った薔薇園の片隅に死んでいる小鳥を見つけた。
雀だろうか。
やわらかそうな白い羽毛と、空を知る薄茶色の羽根。
小鳥はまるで、自らのそれに埋もれるようにして死んでいた。
ペタはその躰をそぅっと抱き上げた。
重さを感じないのは、これが死骸、即ち抜け殻でしかないからなのだろう。
そのまま手のひらに乗せて運び、真っ赤な花弁を綻ばせる薔薇の根元へと埋めてやった。
「ああ、死んでしまったんだね。小鳥」
不意に背後で声がした。
振り向くと、いつから此処にいたのか。ファントムが立っていた。
思わぬ客人だ。
「ファントム」
「可哀想に」
声をかけると軽い足取りでファントムはペタの傍により、小さな死体の上に被さる土を撫でた。
「まだ、子供だったろうにね」
「そうですね」