しょうせつ

□柘榴の肉体
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初めて食べた柘榴の実は

果物だというのにも関わらず

くすんだ、渋く鈍い色の表皮に包まれ

ようやく現れた果実は

甘くもなく、また

苦くもない

ただ水分に僅かな酸味を垂らしたような

ひどく曖昧な味をしていた。

だから僕は君から柘榴の話を聞いたとき、眉を寄せたのだ。



【柘榴の肉体】





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