しょうせつ
□sweet
1ページ/3ページ
仕事の気休めにと、執務机の隅に置いたチョコレートの缶に、ペタは手を伸ばす。
甘いものは好きだ。
特にチョコレート。
砂糖の甘さに加えて、咥内で溶ける柔らかさが疲れた舌に嬉しい。
「ペタってさあ、意外に甘いもの好きだよね」
口いっぱいに広がる甘さにほう、と溜め息をつくと、隣でペタの仕事を眺めていたファントムが呟いた。
「チョコだってビターじゃなくてミルク味だし」
「甘い方が好きなのですよ。…悪いですか」
「いや、悪くなんてないけれど」
じっとりとした目で言うペタに、ファントムは面白そうに言った。
含みを残す口調は、チョコレートを食べる自分をからかわれている様で、少々むかりとする。
「貴方だって好きではありませんか」
これ。とペタは再度チョコレート缶に手を突っ込み、粒状のそれを口の中に放り込む。
ああ、なんて甘い。
.