しょうせつ
□小鳥、薔薇の華、永遠のゆくえ
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ひゅう、と風が吹いた。
散りかけだった幾つもの薔薇が風にさらわれ、何枚もの花弁を振りまいていく。
あたりはすっかり、花びらの嵐に包まれた。
綺麗な光景だ。
ペタは思う。
けれど、それを見たファントムはどこか寂しそうな顔をした。
「…花も、小鳥も、どうして最期を迎えてしまうのだろうね」
再び、ひゅると風が鳴く。
ファントムの銀の髪が、赤や黄色の花びらに紛れる。
「こんなにも愛しているのにいつかは消えてしまう。…僕だけ残して」
「……ファントム」
かける言葉を見つけられないくらい、ファントムは寂しそうに遠くを見つめる。
花びらを、小鳥を、今までになくした沢山の愛したものたちを。
「…愛さなければそれで済む事って、判っているはずなのにさ…」