□世界の中心
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ほらほら、今日もあいつは俺を気にしてそわそわしてる。んー良い気分だね。
俺ってば調子に乗っちゃって隣できゃんきゃん笑う誰とかちゃんの肩に手をおくんだ。誰とかちゃんはほっぺた真っ赤にして俯くんだけど、俺はそんなの見てないからさ。俺が見てんのはあそこに突っ立ってる茶色のハゲだっつーの。
何だか気まずそうに眉潜めたりなんかして、俺って愛されてるなーとか思う訳ですよ。いや、幸せモンだな俺。

「んふふ、ったく仕方ねぇよなぁ」

あんまりほったらかしてると流石に可哀想だから、頃合いを見て女子の集団を抜け出した。行く先は一つだけ、ジャッカルんとこに決まってるじゃねぇか。

「ジャーッカル、何見てんだっ?」
「い、いや別に何でも」

一瞬曇った表情を見せるも、すぐに俺の大好きなあったかい笑顔になる。
それはそれで嬉しいのだけれど、
もっと嫉妬しろよ。何ヘラヘラしてんだよ。嫌なら嫌って言いやがれ。

「話終わったなら帰ろうぜ」
「おう、」

くるりと上手に話を終わらせたジャッカルに、俺は僅かに不満を覚える。
もっともっと、愛を伝えてくれたって良いだろぃ?
あぁやっぱこんなんじゃ足んねーのかな。もっと愛せよ、やきもち妬けよ。
俺はただの我が儘ボーイ。求めるだけで、与えることを知らなかったんだ。



















―――――――

















今日は朝から嫌なものを見た。まぁジャッカルは毎朝俺を教室まで送ってくれるんだけど(当然だろぃ?)、その直後。
教室から離れるジャッカルに、俺のクラスの女子が話し掛けた。

「――――…」

聞こえない会話がただただ腹立たしくて、俺は両目にひらすらにその光景を焼き付けた。
楽しげに笑う女生徒も、俺に向けるのと同じ笑顔を浮かべるジャッカルも、何もかもが真っ黒な塊になって俺の腹の底に蓄積していって、涙腺に来る前に奥歯が熱くなる程噛み締めた。















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