B

□操
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いつも通りブン太の部屋でゲームをしていたはずなのに、ゲームをやろうとおれを呼んだ張本人は、「素材集めんのだりいからやっといて」とコントローラーを放ったっきり、ベッドに乗り上るとそのまま10分もせぬうちに健やかな寝息を立て始めた。サイドテーブルに置かれたままのホットコーヒーは、中途半端に残ったまま温いを通り越して冷たくなっている。彼が飲んでいた炭酸ジュースはすっかり彼の胃の中で、空っぽになったペットボトルだけがそこに鎮座していた。
午後1時、季節は冬だ。高校2年、中学を卒業してそのままエスカレーターに乗っておれたちは高校生になった。また一から球拾いをして素振りをして、そうしてようやく昨夏、高校においてもレギュラーの座についたが、結局どうしたってふたつ上の先輩たちが引退しなければレギュラーにはなれなくて、相変わらず早々に試合に出ていた三強にブン太とふたりして膨れていたのがついこの間のことのようだ。赤也も強くなった。無論当初からおれたちのだいぶ上にいることは分かっていたが、いろいろな経験をして、着実に彼は高みへ上っていく。それでもなお、変わらない赤也がとても好きだった。部活のたび、そうでなくても、いつだって彼は「せんぱい!」と日向の匂いをさせながら笑う。おれとブン太と、赤也と、日常は3年前からなにも変わっていない。












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