□君の名前
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そのあと、丸井と堂々とどつきあい、そして笑う。その様子に、教師はからからと笑った。何事かと見れば、彼女は楽しそうで。

「桑原ブン太君に、柳生雅治君。後で職員室おいでね」
「「げ」」

不覚にもハモった俺たちはまた目を合わせ、教師にすんませんと頭を下げた。クラスメイト達は慣れたように笑い、そして囃立てるように口笛を鳴らした。「いつ結婚したよ?」「愛し合ってるねぇ」当然の如く投げられる言葉に「ありがとさん」と軽く返して。とりあえずは呼び出しを免れるため、必死に頭を下げた。













俺だけがあいつの名字を書いたと思っちょったんに。全くつまらん。
テスト中に不意に思い付いたこと。容易な基本テストだったし、成績になんて入らないからすぐに終わって。暇潰しに考えた。
名前を書き終えれば、何とも言えぬ満足感。
答案返却が楽しみで仕方なかった。
なのに、なのに
丸井のボケ!
あのアホと思考が同じだったとは、俺も墜ちたもんじゃのぅ。




「痛っ?!」

結局呼び出しは決定してしまい、仕方なく席に着いて真面目に(俺的に)授業を受けていた俺の前髪がぐい、と引かれた。無意識に周りを憚り声を押さえたが、犯人に対する怒りは収まらず。

「何すんじや」
「てめえな、思ってる事全部口に出てるっつぅの。ばぁか!」

もう一度髪を引き、丸井は前を向いた。

「それはすまんの、桑原君」
「別に良いぜ、柳生君」









そんな昼下がり、立海は今日も平和です。














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