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□純情少年。
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「朝礼に遅れますよ」
眼前の仁王君に告げるも、「へぇ」とだけしか返事は返って来ない。流石にその態度に苛つき、僅か睨んでやれば至極楽しそうに彼は笑んだ。そのまま私から離れると開け放たれているトイレのドアを音を立てて締める。そうしてその場所から独特の猫背と目配せで私を誘惑した。
「仁王君、良い加減になさって下さい」
「いいけぇ、黙りんしゃい」
それこそ音もなく近付いて来た仁王君は、自然な流れで私へ口付ける。何だか悔しいから口を引き締めれば再び唇だけで笑われ、がぶりと噛み付かれた。
「にお、…ん、」
反論しようと口を開けば性急に咥内へ入り込む舌。熱いそれは悪戯に蠢きながら、更には薄い唇が愛らしくもちゅうちゅうと吸い付くものだから、流されるのも良い気がして来るから不思議なものだ。
「あ、はぁ。なん、柳生、やる気満々?」
「……誰がですか」
いつの間にか自らも口付けに応えていたらしい。無意識に彼の唇が離れるのに従って口を突き出していた。
「いやん、柳生のエッチ」
そう言いながら股間を私ののそこに押し付けて来る仁王君は、台詞をそっくりそのまま返してやりたいくらい勃起していた。実際私もしていましたが。いや、不可抗力だ。
これ以上はダメだと、腰をぐいと引くもやはり壁ぎわ。すぐに仁王君の両手が私の腰を掴み自らのそれと擦り合わせる。
「あ、あー…きもちー」
「仁王君、これ、以上は!」
朝礼へ急ぎたい気持ちはあったが、恍惚とした表情で腰を振りながらきゃらきゃら笑う仁王君に、股間はすでに臨戦態勢。もうこのまま戻れそうにもない。
「ん、」
ふいに腰への刺激がなくなったかと思えば、仁王君が屈むのが見えた。まさかと思ったが時既に遅し。
下を向いた時にはもう自分の性器が取り出された後だった(仁王君は脱がせるのが早い、と言うか手慣れている)。
仁王君はグロテスクなそれに、何の躊躇いもなく頬擦りをする。それから幸せそうな笑顔を浮かべながら口へ含むのだ。何故男性器をそんなに美味そうにくわえる事が出来るのか、私は未だに分からない(仁王君のものなら別ですが)。
「は、に、おく…、」
「ひもひー?」
あぁもう何なんだこれは。く、と眉を歪めた私をはた目に、朝礼開始のチャイムが鳴った。
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