□純情少年。
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チャイムが鳴ったことにより人が来る心配はなくなったものの、まさかの朝礼無断欠席。柳生比呂士の名を汚すには十分だ。

「も、出ます…っ!」

更にはこんな朝っぱらから学校での淫行。以前の私からは到底想像も出来ない様な事象だった。それもこれも全部仁王君の所為だ。責任を転嫁する訳ではないが、少なくとも私に非はないと思う(断じて責任転嫁ではありませんよ)。
そんな今更なことを、霞み掛かった頭の隅で考えた。

「他ん事考えとぉやろ」

吐精後独特の気だるさに放心していると、満足気に精液を飲み干した仁王君が眼前に迫っている。細かな事を説明するのが面倒だったから、いいえ、とだけ答え、未だ粘り気の残る相手の唇を一舐めしてやった。

「さぁーってと、」

その行為にまた一つ笑みを残すと、仁王君は私から離れトイレ内の水道へと歩を進める。何をするのかと見つめれば、トイレ用の洗剤を手に取った。そのまま蓋を開け、液体を手の平へと垂らす。私はそこで漸く仁王君の意図を理解するのだった。

「仁王君!何をするおつもりですか!」
「何て、いっこしかないじゃろ」

作業を途中で止められたのがよっぽど気に触ったのが、首だけをこちらに向け私を睨んで来る。そんなものは慣れたものだから、私は特段気にも止めず仁王君へと歩み寄った。この際、ズボンの前が寛げられていると言う事は置いておこう。

「洗剤なんかで慣らしたら、粘膜が傷付きます。私が舐めて差し上げますから、これ、解いて下さい」

くい、と後ろ手に縛られている両腕を暗に示すと、あからさまに嫌そうな表情を返される。だが、そんなことは知ったことではない。

「仁王君、外しなさい」
「やーじゃ」

もう一度問うも仁王君は耳を傾けもしない。強情過ぎるのも如何なものやら。

「ならば私も好きにさせて頂きますよ」

自分の中の何かがふつ、と音を立てて切れ、それを呆然と他人事の様に感じた。どうやら、自分の体は他人に一方的な態度を取られることを嫌う様だ。















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