□あいかわらず、
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「えろいことなんてしなくても、あなたのこと好きですよ。と言いますか、もう存分にえろいことしたじゃないですか」
「えろいっておまんが言って良い言葉じゃないぜよ」
「ふふ、とりあえず、今日はもう終わり」
「………じゃあ、1ヶ月であの箱使い切るナリ」
「それはあなたの頑張り次第でしょう」
「柳生えろーい」
「はいはい、ほらおやすみなさい」

半分寝た頭で、俺が指先で示したものは机の上のメタルピンクの箱。1ヶ月でなんて、きって無理だと分かっているけど(だって俺たち、中学生)。あの箱の所有者が俺だっていうことを分かってもらえれば良い。そして、箱の中身を減らすのが、俺だけであれば、それで良い。

「好きだよ」
「いきなりやのぅ。誰の真似?」
「妹」
「分かるかアホッ」
「痛ぁーい、何するんですかあ」
「妹の真似すんな」
「仁王くんなんてこーしてやるう」
「うおっ、こら。もう寝るから、大人しゅうしんしゃい」
「じゃあ腕枕してえ?」
「仕方ないのぅ、ほれ」
「あはは、仁王くんノリ良いですね」
「柳生のこと好きじゃし?」
「ありがとうございます」
「相思相愛?」
「笑えない冗談」
「えっひど。てか笑いながら言わんで」
「笑ってません。さ、寝ましょう」
「ん、」

久しぶりの2人きりの休日は、誰かが聞いたら卒倒する程甘く愛情に満ちている。俺は詐欺師という名の仮面を、柳生は紳士という名の仮面を、部屋に入ってすぐ脱ぎ捨てるんだ。言うまでもなく脱いだ仮面はきちんとベッドの支柱に掛けてあるから、いつだって被ることが出来る。だから、誰も俺たちの本当を知らない。この部屋には、皆が恐れる詐欺師も、皆が尊敬する紳士もいない。でも、俺たちにとっての本当が、ある。












「柳生起きて、雪降っとう」
「本当だ。仁王くんの髪の色みたいで綺麗ですね」
「……おまん、実は頭悪いじゃろ?」
「仁王くんに関しては否定出来ませんねえ」












相変わらず、
愛も変わらず、


















end
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