□砂糖菓子より甘く
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目覚めて最初に俺が見たのは、見慣れた薫製玉子。手を伸ばしてそれに触れれば何時もと変わらぬそれに安心感を覚える。
触れられて気付いたジャッカルは振り返って微笑む。

「はよ、大丈夫か?さっき熱計ったらまだあるから、しばらく休め。それから腹減ったなら、お粥作ってあるからな。後、お袋さんから電話あって、帰り遅くなるんだと。俺お前のこと任せられちまったぜ。あ、因みに今4時な」

嬉しそうに苦笑するジャッカルが愛しくて、ただ「サンキュ」と言葉に乗せる。でも、実際聞こえたのはひゅうひゅうと空気の抜ける音。

こえ、でない。

それすらも、呼気と共に溶け出す。途端に不安になって、知らずに揺れる瞳。
泣きそうな俺を助けるのはやはり彼しかいなくて。浅黒く長い腕が俺に絡み付いて、俺の体温ですっかり暖かくなった布団から救い出す。突然触れた外気に肩が震えるが、直ぐにやって来た彼の温度で解れる体。

「あー、‥これじゃあ寒いか」

俺を抱えるとベッドに上がり、俺を抱き締めたまま壁に寄り掛かる。それから、布団に包まって。

「大丈夫大丈夫」

単純な言葉だけど、持っている力は計りしれなくて。
切ない甘さが広がってこくこくと頷きながら、擦り寄る。頭上でふっと笑い声が聞こえると、頭を愛おしげに撫でられた。
もう、好き好きジャッカル。
やっぱり大好きだこのやろう。
言葉で伝えられないのが、歯痒くて仕方ない。

「あ、何か食うか?」

声と同時に少しだけ離れる体温。淋しくて無意識に服を引っ張ると「すぐ帰って来るよ」と優しい声。
渋々離して目を閉じると、規則正しく聞こえる、ジャッカルが階段を下りる音。













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