□優しさ120%
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「何笑ってんスか」
「んや、珍しく赤也が気い利かすから明日は雨かなって思ってよ」

ボトルを軽く揺すりながら笑えば、赤也はむぅと膨れ「じゃあ返して下さい」とそれを奪おうと俺の右手を追う。
こんなことしてると、赤也もちゃんと二年生なんだなって感じる。可愛い可愛い。













「…っれ?ジャッカルは?」

戯れ合っていた赤也の背景をふと見れば、彼がいない。他のレギュラー達はみないそいそと部室に向かっているのに。

「あぁ、さっき女子に呼ばれてどっか行きましたよ。浮気っスかね?」

にぃ、と嫌味に笑う赤也を拳で黙らせて。気付いてたなら早く言えよバカ。温くなったボトルをぎゅっと握り締めて、俺はコートを去った。










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「ジャッカルンルン、ジャッカルー!」

目撃情報を頼りに、俺は校内へ駆け込んだ。教室、化学準備室、予備校舎。
何と無く感じるジャッカルの気配を追いながら教室を回っていく。

「いねぇー…」

放課後の学校には、ジャッカルどころか人っ子一人いなかった。外はもう暗くなり始め、どこの教室も真っ暗。
流石にもう帰ったのかな。何だよ骨折り損のくたびれ儲けじゃねぇか。
ばかみてぇ。
帰ろうかと踵を返せば、ふと見上げた最上階の音楽室に黒い頭。
俺は迷わずにそこへ向かった。














「で、何だ?悪ぃけどブン太待たせてるから急いでくれ」
「うん、あの、ね…」

音楽室のドアの傍に、ちょうど隠れるように座ると、そこから流れ出る全ての音が一字一句違わず俺に伝わった。

「……どうした?」
「え、いや、あのね…」

鈍感ハゲは気が付かない。放課後の学校。
二人きりの教室。
告白以外に何があるってんだ。
夕日の所為でなく彼女の頬を染めているのが、ここから見ても分かるくらいだ。
ドアの隙間から様子を伺っていると、俺はある事に気付いた。
……何あの胸!
女生徒の顔から下ろした視線が思わず胸部で止まる。そこでは尋常ではないの胸が、たおやかに揺れていた。乳に興味の薄い俺ですら凝視してしまうそれを、グラマーが好みのハゲはどんな風に見ているのか。
それを想像して、心臓をぎゅうと握られるような苦しさに襲われた。










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