□世界の中心
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目には目を、歯には歯を。醜い嫉妬には、醜い嫉妬を。
全部が嫌になったから、何か壊してやろうと思った。悪いのは俺じゃない。全部ジャッカルなんだ。
そうして頭の悪い俺は、一番分かりやすくて一番格好悪い道を選ぶ。










いつも昼休みはジャッカルと昼食を摂っていたが、それを見事にすっぽかしてやった。ただすっぽかすだけじゃなくって、わざわざ教室にいて、クラスの女子の集団に混ざり込む。俺のキャラクターだ。一つも問題はない。

「おーい、ブン太ー」

何にも知らないジャッカルは、俺にとって脅威であり残酷であった。

「飯行かねーのか?」

俺の様子を認めればきょとん、と首を傾ぐ。あぁ全てに苛々する。ちらと瞳を投げて、そのままふいと外方を向いた。無視するなんて幼稚なこと、今更するとは思ってなかったけど、そうする他思い付かなかった。

「…………なら、俺行くな」

それだけ言って、ジャッカルはB組を後にする。何も言わないその後ろ姿が、何故か果てしなく遠く感じた。

「じゃーな、サンキュー」

用が無くなった女生徒達の元を離れると、一人寂しい食事に勤しむ為、自分の席へ戻る。もぐもぐと咀嚼すればする程、楽しみにしていたサンドイッチは重い粘土の様に変わっていった。



















―――――

















とにかく気に入らない俺は勿論部活にも一人で行った。探す人の居ない教室に向かったジャッカルの気持ちを思うと、少し胸が痛んだが、それ以上に俺の心は荒んでいた。

「うぃー」
「おぅ、ん?ジャッカルは休みかのー?」

気の無い挨拶をしながら部室に入ると、珍しくも仁王のみがそこにいた。また面倒な奴と二人になったと、俺は胸中で舌を打つ。

「さぁな」
「なん、それ。ほーう、喧嘩か?」

人の心が読めるのかこいつはこんちくしょう。
本当に面倒な奴だ。俺は何も言わないまま着替えを終えると、早々にテニスコートへ向かった。背中に仁王がにやにやと笑むのが分かったが、リアクションを起こせば状況が悪化するのは分かり切っていたから、小さく咳払いを残してやった。



















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