B

□操
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今日の休校が決まったのは昨日の夕方だ。昼前から降り出した雪はあっという間に広い校庭を真っ白に塗りつぶし、あれよあれよという間に下校時間が早まった。「やりい!駄菓子屋寄ってこーぜぃ!」。小2以来初めて同じクラスになった相棒が、それでも遠く離れた席からおれに向けてガッツポーズする。初老の担任はおれとブン太を交互に見て、溜め息を吐いた。「ばかたれ、電車止まるかもしれんから早く帰りなさい」。もちろんそんな彼らを気にする者はだれもいなかった。クラスメイト全員、心ここに在らず、である。降り積もる新雪に、神奈川県民たちは高揚感を抑えきれない。
そうしてコンビニだけ寄ったあと、少しだけ雪を堪能して、おれはブン太の家に泊まった。翌日部活がない、おまけに学校がないなんて、いつぶりだろうか。
風呂上がりの彼が髪も乾かさないまま、ベッドに腰掛けるおれに乗ってきたあたりでそう思って、そしてそれはすぐに霧散した。










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