ドラマチック
□淋しい夜
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知ってる人もいないし。明日は頑張って誰かに話しかけなくちゃ。知り合いも友達もいない3年間なんてイヤだもん。
私はうとうとしながら、父親が栄転が決まった日のことを思い出していた。
その日は中学最後の夏休みを終えてから数日後だった。
「ただいま…!?お母さん!どうしたのコレ?!ってか晩ご飯にはまだ早いし!!」
学校から帰った私の目の前にはクリスマスか誕生日なのではと思わせる料理が並んでいた。
「おかえり。あのねお父さんがね、」
お母さんがとても嬉しそうに説明してくれた。
「えっ!?本当に!?それで今日はお祝いなんだね」
私が笑顔で言うとお母さんは顔を曇らせて申し訳なさそうに話し出した。
「それでね、高校の事なんだけどね…」
「ん?埼玉県の高校受験するからいいよ」
「1人暮らししてもらえるかな?」
「な、なんで!?お父さん北海道から埼玉に栄転なんでしょ?来年の春からなんでしょ?一緒に埼玉の社宅に引っ越すんでしょ?」
「その埼玉に行く前にアメリカの本社へ研修に行かなくちゃならないの」
「え!?アメリカ!?…じゃ、数ヶ月くらい1人で社宅に住むって事?お母さんは?」
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