東方狐猫愛
□出会い
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とある陽だまりのマヨヒガにて…
「ふぁ〜…よく寝たわぁ…」
この見事な寝起きさんは、私の主人の、八雲紫だ。
いつもぐうたらしているのだが、やるときにはやる、自慢の主人だ。
「紫様、朝ご飯出来てますよ」
「ええ、いただくわ」
寝過ぎたのか、足取りが覚束ない様子。
私は、フラフラする紫様を抱き留める。
「紫様……大丈夫ですか?」
「ええ…ちょっと夜雀に目を…」
「嘘ですね。分かります」
「……藍、貴女鋭いのね…」
しょんぼりする紫様も可愛いものだ…♪
「…藍?なにニヤニヤしているの?」
しまった…顔に出ていたのか……
気を引き締め、ポーカーフェイス。
「いえ、なんでもないです」
「…変な藍。 あ、早くご飯食べましょう?今日は“特別”なんだから♪」
「“特別”?」
「貴女に、式を与えるわ」
…今何て言った?
式…?
私が式なのに?
「あの…それって、どういう……?」
「んー、詳しい話はご飯の後!」
「はぁ……」
簡単な食事を済ませ―紫様はありったけのご飯を食べたけど―、紫様に誘われるまま、庭へ出る。
「じゃーん♪この娘が貴女の式でーす!」
赤を基調とした服に、緑の帽子。帽子の横からは猫の耳がついていて、お尻には二つの尻尾が付いている
「初めまして♪ちぇん、ていいます!」
律儀に挨拶する橙
…可愛いっ♪
でも、私の式なんだから、私がしっかりしなければ……
「ああ。初めまして。私は、八雲藍だ」
出来る限り威厳を
耐えられるだろうか……
「はいっ♪藍しゃま♪」
なん…だと……?
怯ま…ない…?
「何豆鉄砲くらった鳩みたいな顔してるの(笑)」
紫様まで笑ってる…
私って威厳無いのか?
「あのぅ…私変な事言っちゃいましたか?」
うっ…そんなつぶらな瞳で見つめられたら…
「そんな事はないぞ、橙」
思い切り撫でてやった
「えへへ……♪」
「ブッ」
いけない、鼻血が…
「あにゃあああああ!?藍しゃまお鼻から血がでてます!!」
そうして、私達三人の暮らしが始まった…