短い夢

□"好き"って早く言えばよかった…
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「今日ね、恭弥とデートするんだ♪
 凄く楽しみだなぁ..」

私の友達が楽しそうに言葉を漏らす、その言葉を聞いた私は胸が締め付けられた..

友達の彼氏は雲雀恭弥、そう..並盛最強であり最凶である人。
群れることを嫌う雲雀恭弥は彼女なんていう存在を作る事なんて無いだろうと誰でも思っていた、だが現実は違った..
雲雀恭弥はいくらなんでも男だ、恋愛に興味が無いなんて事は無かった。
その証拠に私の友達と今付き合っている..。

付き合いだしたのはちょうど一週間前、友達が雲雀さんに告白した事からだと言う。
引っ込み思案で大人しげな子だと思っていたのに恋にはどうやら積極的だったのだ。

『そうなんだ..、良かったね。
 楽しんできて...』

私はそんな幸せそうな表情を浮かべる彼女に作り笑いを浮かべてそう返すと、彼女は小さく頷いて、有難う、と呟いた。

実は私、一ヶ月前から雲雀恭弥の事が好きだった..。
一ヶ月前、私は学校に忘れ物をしてしまいとりに行く途中、学校の階段で偶然雲雀恭弥に会ってしまったのだ。
その時は好きとかそういう感情を持っていなかった私はただ風紀委員長の雲雀恭弥が怖かった..。
雲雀恭弥はこんな時間に私が学校内をうろついて何をしているのだろうと不思議に思ったのか、何しているんだい?と問いかけてきたのだ。
私は戸惑いながら、忘れ物をしてしまってとりに来たんですですと言うと雲雀恭弥はその回答に鼻を鳴らし、私の横を通り過ぎた。
その通り過ぎる瞬間、雲雀恭弥は小さな声で

「早く帰りなよ、暗くなったらロクでもない奴らが出てくるんだから」

と言ったのだ。
その優しさに私は心が惹かれた...。
雲雀恭弥は怖い人なんかじゃないんだ、本当は優しくて良い人なんだってそのとき思った。
私は忘れ物を教室から撮って帰る途中、ずっと雲雀恭弥のあの言葉を頭の中で響かせていた。
忘れられなかったのだ、あの優しい言葉が..

そんな些細な出来事で私は雲雀恭弥に恋をした..。
だがそんな恋は叶いっこなかった..相手は、風紀委員長。
風紀を乱すようなものを許さない、だからあの人は彼女と言う存在を作らないんだと思っていた。
一週間前までは..。
そんな勝手な思い込みで私は心の中で安心していた、あの人は誰とも結ばれない、誰とも付き合わない、誰ともキスをしない。
私は遠くから見てれば其れで幸せ、そう感じていた。
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