短い夢

□"好き"って早く言えばよかった…
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一週間後、雲雀恭弥に彼女ができたと言う噂が私の耳に入った。

そんな事ありえない、あの人に彼女が出来るだなんてそんな事..。
私は直ぐに噂を確かめに応接室に走って行った、応接室の前..雲雀恭弥と女がキスをしていた。
ショックだった、そんな場面を見た私は首を小さく横に振りそのことを否定するかのように其の場から去った。

一晩中、あの場面が嫌でも思い出す。
忘れようとしても思い出してしまう、寝たらきっとこんな事忘れるだろうと思い、ベットに入り目を閉じ寝付いた。

次の日、引っ込み思案で大人しい友達が私の席に来た。
彼女は顔を紅く染めながら、

「き、昨日の事は..その誰にも言わないで欲しいの。」

と私に言い放つ。
その言葉に私は目を見開いて彼女の顔を見つめる、彼女は幸せそうな表情を浮かべた。
そんな彼女が憎らしかった....

私が好きになった人と如何して貴方は結ばれたの?という疑問が頭によぎる。

『..貴方と、その、風紀委員長って付き合っているの..?』

私は確かめるかのように問いかけた。
だってまだ信じられないんだもん、この子が雲雀恭弥に無理やりキスした可能性だって在るんだそう思った。
だけどね、やっぱ現実はうまく物事が運ばないんだ..。

彼女は私の問いかけに小さく頷いて笑顔でこう言った。

「一週間前にね、恭弥に告白したの..。
 そしたら、OKしてくれたんだ。私そのとき夢かと思うほど凄く幸せだった..。
 ずっと好きだったの、恭弥の事、やっと両思いになって私嬉しくて嬉しくて..」

私は顔を強張らせてしまった、彼女は其れに気づかないのかその後ずっと雲雀恭弥との関係、そして出会いから全て話してきた。
私は今すぐにでも耳を塞ぎたかった、幸せそうな彼女の声なんて、話なんて聞きたくなかった。

『そう、なんだ..。良かったね、両思いになれて。』

作り笑いを浮かべては祝福の言葉を漏らす。
本当は私が言われたかった言葉を全て、彼女に言った..。

もし、この子より先に雲雀恭弥と出会い恋に落ち、告白していたら私、雲雀恭弥と付き合えたかな?
過ぎてしまった事はどうしようもないのに、私は考えてしまう...。


次の日、彼女は雲雀恭弥とデートに行くと言う話しを聞いた。
また作り笑いを浮かべては祝いの言葉を述べる..。

モウ、ツカレタヨ...
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