イザシズ
□雨が降るから
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「雨、やまないなー…」
黒く濡れたアスファルトを見つめながら俺は呟いた。
今日に限って折りたたみ傘を家に忘れてきたらしい。
玄関でただ雨がつくる斑点を見つめていたが、どうやら止みそうにない。
生徒達はほとんど帰ったらしく、今玄関には誰もいない。
(最悪………)
もうこのまま走って帰ろうかと考えた時、足音が聞こえた。
「…………ゲ、臨也……」
聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くと、シズちゃんが今にも怒り出しそうな顔でこちらを見ていた。
怒りたい気持ちはわからんでもないけど、俺だって最悪だよ。
「シズちゃん……なんでいるの。」
とりあえず消えて、という言葉を付け足すとこちらに殴りかかってきた。
「手前が消えろ!そして二度と俺の前に現れるなぁあああ!!!!!」
間一髪のところで攻撃をかわし、シズちゃんの耳元で囁いた。
「雨だし降ってるんだしさぁ………静かにしなよ」
逆に挑発しちゃうかな、と思ったけど、ちっと舌打ちしてから大人しくなった。
沈黙が流れる。聞こえるのは、雨音と自分の鼓動だけ。
暇だからシズちゃんでも観察しようかとシズちゃんの方を見た。