拍手小話
□とある夕暮れ時
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地獄篇
――とある日のとある町で。
とある兄妹が、楽しそうに笑い声をあげながら道を歩いていた。
兄妹が進む方向からオレンジ色の髪をした男が小さな子供を肩車しながら歩いてくる。
その親子が兄妹とすれちがうと、兄がふと立ち止まり振り返った。
「どうしたの?」
妹が尋ねると兄はふっと顔を綻ばせ、振り向いたまま答えた。
「いや、なんでもねぇよ。ちょっと知り合いに似てただけだ」
その親子をみつめる兄の目は優しく、温かみを帯びていた。
前に向き直ると兄は妹の頭に手を乗せた。
「なぁ、――」
「ん?なに?」
「いつまでも、一緒にいてくれよな」
妹は兄の言葉に首を傾げたが、すぐに笑顔で答えた。
「当たり前じゃん」
妹の言葉に満足したのか兄も笑みを浮かべた。
「――、大好きだ」
「私もお兄ちゃんのこと大好き」
歩きだした二人を暖かい光が包んでいた。
地獄篇エピローグ的な。
地獄での騒動から数年は経ってないと、転生してあの歳になるのはおかしいかなと思ってオレンジ髪の彼は親設定です。