WANTED

□「俺も知りてぇな」
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「ねぇ、メルトの能力って何なの?」



船内を一通り案内してもらい、甲板で休んでいるとペボがきいてきた。



『そうだな…簡単に言えば、幻術だ』

「幻術?」

『そこにないもの、幻を作り出すんだ』



例えば、と言いながら左手を宙にかざす。


すると長剣が出現し、ふわふわと浮くそれを左手で掴む。


ペボはわぁ、と感嘆の声を漏らした。



「じゃあさ、食べ物とか白熊も出せるの?」



キラキラとした目できいてくるペボに苦笑する。


にしても何故白熊。



『出せるが、幻でできた食物を食べても栄養にはならないぞ』



そう言って左手にある剣を消して、両手にローストチキンとマグロのカルパッチョを出現させる。


ペボの前に小さな白熊を出現させると、同じく甲板で寛いでいたペンギンとシャチが集まってきた。



「へぇ、武器だけじゃなく食いモンとか動物も出せんのか、すっげーな!」

『これ食べるか?シャチ』

「おっ、サンキュ」

「白熊小さい……」

「嘆くなペボ。お前みたいなデカイ白熊があと一匹増えたら船が沈む」



両手に乗った料理をシャチに渡し、ずーんと沈んだ空気を醸し出すペボをペンギンが慰めている。


あれ慰めに入るのか?



「それよりメルト、お前の能力は悪魔の実のものじゃないと言ってたが…生まれもつ能力なのか?」

『…そうだ』



生まれながらにして、俺は幻術を使えた。


だが、まだ幼い俺はその力をどう扱えばいいのかわからなかったし、今のように武器なんて出せず不完全な玩具のような物体を出すことしかできなかった。


それでもこの力を不気味がられ、周りから化け物と呼ばれた。



そんなある日、出会ったのがアイツ。



この力を知っていても恐れることなく、退け者にすることなく、俺をいじめる奴らから守ってくれた――――。




「――メルト?」



名前を呼ばれハッとする。
気づけばペンギンが怪訝そうな顔で俺を見ていた。




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