未完箱

□マーメイドパラレル/元素/ロドキア、オールキャラ
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人魚姫キアラ
仲良しのカニ、トム
海の魔法使い、ホミ


「本当に人間になれるの?ホミー・ポッター」
「あの・・・名前勝手に変えないで。僕はホミ・ナンディだからね。メガネの魔法使いは全部あの魔法使いに変換しちゃう安直な考えはいまこそ捨てるべきだとおもうよ。で、人間になりたいんだよね。はいこれ試しに作ったやつだから効果は正直わからないよ」
「え・・・あぶなっ」
「いやいや大丈夫だって、なんたって海の大脳とよばれる。トム・ベンソンが全面協力して作り上げた最高傑作よ。今ならあこや真珠の3.5カラットのネックレスをつけちゃうからね」
「特典の豪華さが余計不安をあおるわよこのカニ!!」
「まあ、大丈夫じゃないかな。とりあえず人間になりたいとかいいだしたウツボ君を二匹ほど実験に使ったらとりあえずおっさんにできたから」
「おっさん?」
「すね毛ぼーぼーのおっさんになったよ」
「・・・あたしやっぱりやめようかな・・・」
「大丈夫女子にすね毛は生えないから!!アイドルはトイレにもいかないからね!」
「訳の分からない説得の仕方するなー」
「大丈夫、なんていったって君は人魚姫なんだからなくすとしてもそれは女の子にとって大切なアレだけだよ」
「だれが卑猥な言い方をしろっていったかしらぁ!!」
「いたいいたいやめてはさみがもげちゃったら、俺のアイデンティティの崩壊」
「このカニ!!ゆでてやる!鍋にいれてやるー」
「ああもう話がすすまないから・・・キアラあーん」
「何よホミ!!・・・むぐっ・・・ごくん」
「ナイスだホミーポッター」
「カニみそ出してほしいですかトムさん」
「ごめんごめん、お、何か、もくもくしてるよ」
「あ、やばい早く地上に連れて行かないと、キアラ溺死しちゃうよ」
「そりゃたいへんだ、ちょっくら送ってくるね」
「はーいいってらっしゃーい」
「ぎゃあーあんた達もっと場所を考え・・もがもがもがー」
「ほらほら息止めてーすでに鰓呼吸の機能が退化しはじめてるんだから、死んじゃうぜ」
「もがー!!」ばか──────────!!





王子ロドニー
従者レン
隣国の姫ハンナ



大海原に浮かぶ一席に豪華客船のうえ、この国の王子は尖頭に立ち地平線の輝きに目を眇めながら全力で呟いた。
「くっそー帰りたいぞー」
「おい、ロドニー王子そりゃないんじゃねーのか、一応このパーティーお前のために開かれているんだろ?」
「おい、従者。王子をお前とか言うな」
「おーわりぃ」
「もう少し反省の色を見せたらどうだレン。人と話をしている時くらい携帯を手放せ」
「王子携帯とか言うなよー世界観こわれるだろー」
「ならしまえ!!」
「ばっか今モンスターと戦ってんだよ」
「おまえ──────────!!」
「うるさいなぁ。分かったよ。主役なんだからこんなところにいちゃだめだろ」
「嫌だ・・・なんでこんなことになったんだ」
「そりゃーお前がコロニー国の第一王子でお年頃だからだろ」
「他人事だなレン」
「他人事だろ、俺はロドニーの従者だし、ロドニーが結婚したってその立場はかわんねーもん」
「お前はいいな・・・僕もお前みたいに自由になりたいものだ。親の敷いたレールの上なんて御免だ・・・」
「んな反抗期真っ盛りの中2病宣言されても困るぜーおれー」
「だれが中2病だ!」
「ああじゃああれだ尾崎豊的15の夜発想」
「・・・」
「ぬすんだバイ・・・白馬で走り出すー」
「盗む必要ないだろ・・・」
「基本的に国の物は王様とお前のもんだからな。うん。これ間違えた」
「・・・・はぁ」
「まあまあそうへこむなよ、相手のハンナ姫ちょう可愛いじゃん。俺タイプだよー」
「・・・顔わな・・・そりゃ黙っていれば・・・・まあ・・少しは」
「あーらなによロドニー王子、今あたしの悪口言ってなかった?」
「うわっいえ、めっそうも!」
「じゃああたしの聞き間違えだったかしら?ね、まーいいけど。はやく結婚するならとんとん話すすめましょうよ」
「き・・・君は・・いいのかこんな政略結婚」
「ハン!一国の姫なんて皆そのための道具でしょうが。この立場にあって自由に恋愛結婚だなんて許されると思う?あんたが一番それを分かってるんじゃないの?王子様。ばっかじゃなかろうかこんな親睦を深める船上パーティーなんて開いちゃってさ。全部お遊びで飾り、結局は権力の示し合いでしょ。うちのお父様も馬鹿だけどあんたの所も相当よね。いったいどれだけの民から搾取した血税でこーんな立派な船を作ったのか知らなけど、あたしは文句を言う立場にないし、あんたもそうでしょ。こんな茶番終わらせてやること澄まして子供生めってことでしょー」
「こっこど・・・」
「ばーか。何赤くなってんのあたしは現実的な話をしてるのよ。ふわふわ夢みてんじゃないわよロドニー王子様」


「・・・」
「王子、見事な絶句です」
「・・・変なときだけ褒めるのはやめろレン・・・ますます彼女と夫婦になる自信が失われた・・・」
「もう仮面夫婦なのか・・・うわーこわっ」
「あああ僕はどうしたら」
「そんなに嫌なら継承権放棄すりゃいーんじゃね」
「軽く言うな!!」
「あーいいこと思いついたぜ」
「不安だなそれは」
「ばっかすごい名案だぞ!今継承の指輪持ってるよな、ちょっと貸してくれよ」
「・・・何・・・する気だ」
訝しむ目で見つめていると、いいから早くと言って指からむしり取られた。
「おっおまえ」
「これをだなー」
ふっふっと笑みを浮かべたレンはその手に指輪を収めたまま大きく腕を振り上げた。
ロドニーはぎょっとして、慌てた。
その動作はまるで海に指輪を投げ入れようとしているようにしか見えなかったからだ。
「レンっ!!」
飛びつくようにして動きを封じ込めた。
「うわっ冗談だよ、一時的に無くしましたーってことで延長させればさ、案とか練られるだろ」
「心臓に悪いことをするな」
「そこまで馬鹿じゃねーよ!ったくよ」
「早く返せ」
「ほい」
差し出した手の上に重ねられた手。
そこに冷たい感触が降りてこない。
不審に思って見上げるとレンの顔つきが変わっていた。
「・・・あ・・れ」
開いたレンの手からはなにも落ちてこなかった。
たらりと米神から一滴の汗を零したレンは真っ青になった顔を上げた。
「やっちまったかも」
「なにっ!!」
「指輪・・・さっきの衝撃で飛んでったかも」
その発言の意味を脳髄で理解した時、信じられないくらい早く体が動いた。
ぐっぱー手を開いたり閉じたり、上着をバサバサしているレンをしり目にロドニーは先般から身を乗り出して底の見えない闇色の海面を目を皿のようにして探した。
見つかるわけがない。
その海の色が映ったような顔色で振り返るとレンも同じような顔をしていた。
ど・・・うしよう。
その時、大きく船が揺れた。
高波に煽られた衝撃がもろにきた、身を乗り出していたロドニーはそのまま・・・・。



ばしゃ──────────ん!!



黒々とした大海の真っただ中に放り出され、落下した。

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