長編小説『女神の盾』
□「わたしの、最高の…?」
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「わたしたち、中学生なんだからバイクには乗れないよ…」
「アッハッハッ! そうだったそうだった。まどかはアタシの若い頃とは違うよなぁ」
…ママってば。
・・・・
わたしが顔を洗って髪を結って…
「よし、完成♪」
そうこうしてる内に、ママは支度を整えてしまう。
やっぱり、スーツをビシッと着こなしてる姿は格好いいなぁ…
わたしは…
「リボン、どっちにしよう…?」
わたしの手には、赤いリボンと黄色のリボン。
「………」
ママは黙って、赤いリボンを指した。
「…派手すぎない?」
「その位でいいのさ。女は外見でナメられたらおしまいだよ〜?」
そう言って、ママは笑います。
「転校生にガン飛ばされたら、メンチ切ってやりな。下から睨み上げる感じで…こう」
「ママ、目が恐いよ…」
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パパが作ってくれた朝ご飯を食べるため、テーブルに着いたのが15分前。
ママに言ってらっしゃいを言ったのが8分前。
弟のタツヤのおでこにキスして、台所の時計を見て…
ジャムトーストを口にくわえて家を飛び出したのが6分前―
………
しまったー!!
のんびりし過ぎちゃった!
さやかちゃん達との待ち合わせの時間に間に合わないよぅ!!
運動があまり得意じゃないわたしが、走ったって間に合いそうにないし…
「こうなったら、近道だよ!」
わたしはいつもの通学路から脇道に逸れ、細い裏路地へ―
「ひゃっ…!?」
「!!」
一瞬、見滝原中の白い学ランが見えたかと思うと、
わたしは、わたしとは逆に路地から飛び出してきた誰かとぶつかってしまった。
けれど―
わたしがぶつかった誰かさんは、一瞬で体勢を入れ替えると、後ろにひっくり返りそうになっていたわたしの背中を支えてくれた…
「えっ…!? えっ!?」
何だか手品でも見せられたみたい…
どうやったの?
「ふぅ…」
わたしの耳元で、息をつく音と。
「…怪我は無いか?」
あまり抑揚のない声が聞こえました。