長編小説『女神の盾』

□「バカは死ななきゃ治らない」
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「すまなかった。美樹さやか」

呼び出された放課後の屋上。

暁美ほむらはそう言ってあたしに頭を下げた。

「はぁ……?」

「…君が奇跡を願わなければ、まどかは助けられなかっただろう」

間抜けた声を漏らすあたしに構わず、ほむらは続ける。

「まどかを危険に晒す事になったのも、君が魔法少女になる事になったのも、全て僕のミス… 僕の責任だ」

言いながら、ほむらは苦い顔をした。

「…今後は君に対して、二度と侮った口をきかないよ」

「ちょっと待ってよ!」

勝手に話を進める転校生に、あたしは待ったをかける。

「あたしは、自分で… 自分の意志で願ったの!」

キュゥべえに『まどかを助けて』って。

「だから、あんたに謝られる理由はないよ」

「………」

あたしの言葉に、ほむらは暫く黙り込んでいたが。

「君がそう言っても、僕の気持ちは収まらない… 鹿目まどかは、僕が守らなければ…」

「あのさぁ…」

あたしはため息を吐いて。

「まどかは関係ないでしょ? あんたってば、何でそこまであの子に拘んのさ?」

いい機会だ。

あたしは、前から気になっていた疑問を転校生にぶつけてみた。

たしかに、まどかがかわゆい事は認めよう。

贔屓目は捨てても、男好きのするいい子だ。

けど、まどかは目立つ事があまり好きじゃない。

本人が望むと望まざると関係なく、どちらかというと地味な存在だ。

そんなまどかに対して…

「………」

あたしは、改めて暁美ほむらを見る。
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