give&take

□秋空と星屑
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空を見上げると無数の星達がキラキラと瞬いていた。


「綺麗だな」

「ああ、」


来て良かった。

視界の中、輝く星達がほかりと心を暖かくしてくれた。








ひんやりとした冷たい風が頬を撫でる。
すると共に夜道を歩いていた3人の友人が同時に寒いと唸った。
ハモった其れに少し笑いながら、もう秋なんだなぁと一人実感していると。


腹減ったな。

友人の1人──辺見が眉間に皺を寄せてぽつりと呟いた。
あぁ確かにと俺と友人2人が頷いて、ならコンビニでも寄るかと云う案に賛成し近くのコンビニへと向かう。


向かっている間、寒い寒いと何度も云う友人──成神に少しは黙れと云うと、だって寒いんですもんとサラリと返され、彼らしい返しに苦笑いしながらも寒い寒い云われると余計寒くなると云い止めさせる。
それもそうッスねと納得した様に頷いた彼は、何を思ったのかいきなり。あぁなら皆で手を繋ぎません?と云いだし、俺を含めた3人を硬直させる。


何がならだ、なら。 何でそうなる!? だって寒いでしょう? だからって何で男4人で手を繋いでコンビニまで行かなくちゃならないんだ! 別にいいじゃないっスか、俺らの仲なんですし。 どんな仲だ!


ぎゃあぎゃあと賑やかな声が夜道に木霊する。
暫く3人で言い争っていると、其の中に入っていなかった友人──源田が近所迷惑になるからと続いていた言い争いを制し、前を指差す。
顔ごと指差された方へ向けると、今まで暗かった視界の先に明るい光が見えた。

俺が先に行く!と声を上げ光の元へと走り出した辺見を見て、いや俺だ!と同じ様に声を上げ俺は辺見の背中を追い掛ける。

後ろから狡い!と叫ぶ成神の声が聞こえ、次に聞こえたのは素早い足音。 後ろを向けば成神が我劣らじと走って追いかけてくる。

其の更に後ろに目を凝らせば、呆れた様に笑う源田。
転ぶなよと声を掛けながら歩いてくる様はオカンそのものだった。
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