終わらない日々

□笠松編番外
3ページ/48ページ

海常 黄瀬視点2012/12/04
*同棲パロの笠松編の高校時代

*黄瀬1年の春ごろ











「…っと、何アンタ」

「あ?ああ、マネジの青葉。よろしく」

「へー、ココってマネージャーとかいたんだ。よく見たらかわいいじゃへぶっ!!……ッ!何すんの!」

「何?こっちの台詞じゃチャラチャラすんなボケ!お前はココに何しにきてんだ、つーか!キセキの世代ってのは先輩への口のきき方も知らないバカタレなわけ!?全中三連覇が聞いて呆れるぞ!」

「な、な、」

「2年の青葉ほのか。」









バスケ部がアツい練習を繰り広げる

体育館にそぐわない、

小さな可愛らしい女の子に

何の気なしに声をかけたら

顔面を平手でぶん殴られた。

鼻が高いだけにチョー痛い、なんて

冗談も言えないほどの剣幕で怒鳴りつけられて

俺はただただビビることしかできなかった。

俺の後ろで先輩たちが

マネージャーの偉業をにやにや見ていたことなんて

気付く余裕すらなかった。







主将の笠松さんから

「黄瀬係」を言い渡されたマネージャー

、こと、ほのかサンは

怒り方は怖いけれど

普段から怒っている訳ではなくて

いいコトをすれば褒めてくれる。

悪いことをすれば、やっぱ怒られる。

だけど俺はすぐに気付いた。

俺が否定されているわけではなくて

俺がいい行動を取れるように

仕向けてくれているんだと。



ほのかさんとともに

「黄瀬係」を言い渡された

2年でレギュラーの早川さんは

いろんな意味で口下手な人だ。

その早川さんをアシストしているのも

ほのかさんだった。

「ちょっと気になるんだけど、私が言うと黄瀬怖がるから、早川から言ってやって」と

早川さんに声をかけるほのかさんを

俺はもう何度も見た。





誠凛との練習試合の後

誰もいなくなった体育館に戻ると

暫くして制服姿のほのかさんがやってきた。

帰れ、とか怒鳴られるのかと思ったら

なんだか笑顔で手招きするものだから

単純な俺はつられてしまって

言われるがままに右手を差し出す。

ほのかさんは俺の掌に何かをにぎらせた。

そのまま背伸びして俺の頭を撫でると

よく頑張ったね、と言って

そのまま帰っていってしまった。

俺の右手がにぎっていたのは

イチゴ味のチョコレートだった。













「あんた、調子に乗ってるでしょ」

「はい?何のことだか」







テンプな台詞に耳を傾ける。

3年生の女子に呼び出されているのはほのかさん。

心底わけが分からないといった表情で

はて、などと首をかしげている。

多分あの人のことだから本気なんだろうけど。









「アンタ黄瀬君のなんなのよ」

「なにって先輩ですけど」

「ちょっとマネージャーだからっていちいち話したり触ったり…勘違いしてるんじゃないの?黄瀬君はアンタのコトなんかなんとも思ってないんだからね」

「はあ…そう言われてもですね、主将から黄瀬係を言い渡されてるんですよね。アイツバカなんですよ、ほんとバカなんです。だからこうつい大声で怒っちゃうというかねえ…なんとも思ってないどころか黄瀬は私のこと怖がってると思いますよ。まあかわいい後輩なので、立派な海常のエースになっていただけるよう先輩方のいる今のうちにびしばしとしごいておこうというのがウチの方針でして、まあ私のことで不満があるんでしたら、私に直接言っていただいても意味がないので主将のほうにお願いできないでしょうか」













ほのかさんが一息で

二回バカと言ったことは置いておくとして。



あー、すげえ。

ほのかさんはほんとに俺のことを

後輩として大切にしようとしてくれてる。

掃除道具入れの陰に隠れて

思う台詞じゃないんだろうけど

ああ、どうしよう俺、シアワセだ。



今まで俺に寄って来る女の子は

いつだって俺のことを

化粧品やバッグを眺めるのと同じまなざしで

見ていることに気付いていた。

(勿論ももっちは別だけど)

ほのかさんは俺を見てくれる。

そのことがとても俺には嬉しく思えた。













「ほのかさんほのかさん」

「はいはいどうしたの」

「俺最近毎日走り込みしてるっす」

「へえ、忙しいのにそれは偉いなあ」

「それでなんっすけど」

「なに」

「IH決まったらご褒美ほしいっす」

「…あんま調子乗ってんなよバカ犬!」









「おー今日もやってるなあ」

「黄瀬があそこまで懐くとは思わなかったな」

「まさか笠松こうなるってわかってたのか」

「んなわけねーだろ!…まー…マネージャーに任せりゃ大概のことは心配ないだろ」

「おーっと、ソレは去年の今頃マネージャーいらねえって言ってた奴の台詞か?」

「うっせえだまれ!」















**





海常は今日も平和


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ