ミクスチャー
□序章
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静かな夜。
数ヶ月前からの計画が、今、実行される。
首謀者であり、先陣を任された僕は指の代わりに生えている、刀で鍵の掛かった扉ごと切り裂いた。
僕は指の代わりに生えている、刀で鍵の掛かった扉ごと切り裂いた。
「もうこんな時間だっけ?」
3番目ぐらいに切り裂いた扉から出て来た仲間が、何が起こったのかまだ、理解出来ず走っている僕に同じ速度で、走りながら尋ねて来る。
「今からここから逃げる」
扉を切り裂きながら、僕は彼女みたいな奴もいるかもしれないので、他の仲間に聞こえるように答える。
「わかった手伝う!」
彼女は笑顔で了承し、扉を叩き壊す。
順調だ。やっぱり計画して、よかった。
そう思われた矢先、逃走劇は止められた。
「……グッ!!」
後ろから吹き飛ばされたが、すぐ様、体制を整え後ろからの襲撃者を確認する。
「逃げるのか?俺達にこんな力をくれたのに…」
襲撃者は言う。
こんな地獄に忠誠を誓う奴等がいるのか!
僕の勝手な考えで、ここから逃げようとしてよかったのだろうか?
ここまで来るのに、何人の研究員達も殺した。
迷った。迷ってしまった。
「裏切るのか?俺達にこんな力を――」
「知らない!!」
僕の心を揺さ振る、そいつの言葉を遮り、彼女は力強く殴る。
一撃でそいつを昏倒させた彼女を見て、僕は我に帰る。
「迷わないでよ…私は嬉しいよここから逃げ出せるなんて…」
泣きそうになりながら、彼女は扉を叩き壊しては、また叩き壊しと、廊下を走り抜ける。
その言葉が嬉しくて、僕達は彼女に続く。
さっきのように、ここへ忠誠を誓う奴らがいても殺して、先へ進む。
逃げろ逃げろと、我先に……。