ミクスチャー
□青
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痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い熱い痛い痛痛痛熱痛痛痛、っッ!痛痛――
「ぎゃああああっ!!うがっ!あっああああ!!」
革靴越しに、熱が伝わり男は悲鳴をあげる。
「騒がないでようっさいわね」
どうしてこうなった?
そうだ!昨夜実験体共が逃げ出して…それで…あっ花屋にいたあの女が実験体のうちの一人に似ていたんだ。それで捕まえようとしたら…なんで今痛い?そうか…その女とは別の奴が来て、こうなったんだ。
「叫んでないで答えなよ。なんで姉を拉致ろうとしたのかな?」
目隠しをされているので、実際は解らないが、きっと今拷問している女は、笑っているのだろう。
麻那木奏空は、新人のアルバイトとして、吹けば飛んで行きそうな、小さな南井園芸という花屋に、働く事にした奏空は挨拶をしに店内に入る。
店主がいるはずの小さな店には、誰もいない。
何か声らしき物音がして、耳を澄ませる。
悲鳴だろうか?それも男の。
急いで奥の物置に使われているドアを開けた。
世の中には知らない方が、いい物がある。今それを実感出来た。
「うわああああっ!!」
「きゃあああああ!!」
「わああああ!!えっ嘘っ!?」
「ぎゃああああああ!!」
絶叫の四重奏か小さな小さな店に響き渡る。
「失礼しました」
奏空は慌てドアを閉める。
なんてこったい。
一瞬だけだが白衣を来た男が、椅子に座らされ、二人の女に何らかの責苦に遭わされていた。
きっと、眼鏡が悪いんだ。度は入ってないが。それとも、普段着ている作業着じゃないのが、問題か。奏空はそう自分を信じ込ませる。
「お姉ちゃんあの人今日からのバイトの人じゃない?」
「嘘っ!どうしよう変なとこ見られちゃった…」
丸聞こえッス。
「どうしよう殺しちゃう?」
「うっうぅ駄目と思うとりあえず、出て来るわね」
出て来なくていい!!
そんな奏空の願いも虚しく拷問部屋から人が出て来た。
「こんにちは、姉の南井紗枝です。一応…店長なんだけど小さいお店だから、建前ぐらいでよろしくね、今ネ弟ト喧嘩シテタノヨゴメンネ騒ガシクッテ…」
嘘だ。絶対に嘘だ。
「そうですか…すいません早く来過ぎましたね」
笑顔だけは崩さず、感情を表に出さないようにして、話題を変えようと試みる。
「大丈夫よ気にしないで、ごめんなさいね。気を遣わせてしまって」
あと妹もいるのよと、紗枝は続けた。
違う出会い方をしていたら、もう少し印象が、違っていただろうが、とにかく第一印象は裏表のしっかりしてそうな人だ。