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□楽園
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ミーン ミーン ミーン


「 テミン!アイス食べ るか?」

『 うん、食べる 』

大学の帰り道

小さな古い商店の前に出されたアイスの冷蔵庫を見つけて

ミノヒョンと僕はふざけて
お互いを押し合いながら

走って冷蔵庫へ近付いた


「 お、ガリガリ君発見 」
『 僕 パピコ 』


両手のパピコを交互に食べながら

長く伸びた自分の影をふみしめるように

長い坂を登る

西日が強くて

ヒョンのアイスが溶け始め
あわてたヒョンが背中を丸めて下からかじりつく

明日から夏休みで

山のような課題が出た

夏休み中にアルバイトもするつもりだったので

学食でぼやいていると

ミノヒョンが家に来いよと誘ってくれた


なんでも父親が芸術家で若い頃高校の美術の先生だったらしく
母親も絵を描くらしい

そんな環境からしてどうして体育会系のヒョンなのかはわからないけど

書斎には沢山資料があるから使えよと優しいヒョンが家に呼んでくれた


坂を登りきったところに
つるが伸びて壁が覆われた洋風の古くて大きな家が現れた

『 うわ、芸術家の家だ 』
「 はは、入れよ 」

ヒョンは槍を沢山列べたような門を開けて家へ進んでゆく

緑が多いせいか少しひんやりした気がした
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