Maine【薔薇】

□身代わり伯爵の結婚 2話 嵐を呼ぶお見合い相手
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夜更けの王宮は昼間とまったく違う顔をみせていた。磨き抜かれた床も、緻密な細工がほどこされた壁や柱も、なにもかもが暗く闇に沈んでいる。
時々ランプの明かりに照らされては思いもかけない模様を浮かびあがらせ、そのたびに隣の彼は縮みあがったっていた。
月のない闇夜。小さなランプだけを頼りに歩くミレーユの隣をマリアは歩いていた。
もちろん傍にはリヒャルトとミレーユの護衛フィリップも居た。

「―寒いの?」

黙っているのを不審に思ってマリアがミレーユに話しかけた。邪念を追い払おうと必死だったミレーユは、はっと我に返った。

「えっ?そ、そんなこと、ないわよ?」

「でも、ふるえてるけど・・」

「む、武者震いよ!」

「・・・そう。」

それがすべて嘘だというのをマリアは見通していた。
小さい頃にミレーユ幽霊やら、暗闇やらがキライだとよく言っていた。
マリアはどちらかというと、怖い話は苦手だが、
寝れない夜にこっそり夜部屋を抜け出したりすることがしょっちゅうあったので、
暗い場所はどうってことないのだ。
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