Maine【薔薇】

□身代わり伯爵の結婚 5話 ひそかなる思い
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アルテマリス王立総合書物館。
二階建ての古びたそれには、王宮すべての書物はもちろんのこと国内外から集められた古書や学術書、専門書がそろう。
近隣大学の学者や学生も申請をすればりようすることができるという、王宮で唯一、一般庶民にも開放されている場所だ。そのため毎日多くの人々が出入りしている。
正面の大扉には『私語厳禁』と重々しく書かれた木板がかけられ、それを押し開いた向こうには古びた紙のにおいと静かな緊張感がただよっていた。

「王宮の見取り図ですね。官庁からうかがっています」

貸出申請のために訊ねたミレーユにマリアは同行していた。
最近一緒にいられる時間が増えたためか、マリアの機嫌は大変よかった。

(こうゆうところに来るの久しぶりだわ。)

本を読むのが好きなマリアは眼をキラキラさせながら周りの様子を伺っていた。
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