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□bloodthirsty...
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半信半疑な侭……俺は土方と別れた。
人違いだろう、___そう言われた。
が、
俺にゃイマイチ納得行かなくて…
美しく開いた羽、色白な体を包む漆黒の着流…そっくりだった。
だけど、たった一つ違った。
瞳____闇で覆われて、光が見えねェ…精気が無い、っつうのか?
いつもみてェに、青い綺麗な瞳じゃなかった。
何にも映さない、真っ暗な瞳………
人違い…だったのか…
だとしたら…あれは何処の誰なのか…
そして何故…口付けをされたのか。
謎ばかり浮かぶ脳は今夜も俺を寝かせてくれなかった。
見知らぬ者で無く、責めて、土方だったら___良いと思ってしまう自分が居る。まだ誰だと断定した訳では無い。だが____
何故か、彼奴なら__彼奴なら、…良いと思った。
刹那…
月明かりを遮断し、俺の部屋に付く砦に一人……
……土方?
それは…彼奴にしか見えねェ。
だけど、やはり瞳には輝きが無くて。
…何処か、寂しそうな瞳__
銀「土……」
瞬間、…ドサリと、その影が倒れた。
月明かりでその顔が照らされ、瞳以外を見ればやはりその姿は土方以外の何者でも無かった。
銀「土方……!」
大理石に倒れ込む土方の上半身を起こし、鼻先へ掌を当てる。
…呼吸はしてる、………一気に力が抜けた。…良かった………
俺は自分とさして体格が変わらない土方を背負い、未だ乱れの無いベッドへその身をそっと寝かせた。
___綺麗な寝顔見せやがって。
その様子は…まるで…人形みてェに静かで…思わず唾が出る。
静かな寝息を立てる土方らしき人物の隣へと座りゆっくりと黒い髪を撫でる。
………色っぽい。
月明かりに照らされて、色白な肌を撫でる黒髪は恐ろしい位に妖艶…
俺は生唾を飲んで、そっと相手の耳横に掌を置いて覆い被さる様に身体を寄せ…
口付けを落とした。