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□夏祭り
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神「アレ……?新八ィ、コレ銀ちゃんの財布じゃ無いアルか?」
新「え?…あ、本当だ……、銀さん財布持たないで行っちゃったの?」
神「全く馬鹿な大人ネ、人混みに紛れて痴漢とかされれば良いと思うアル」
土「なんだそりゃ…俺が届けて来る、お前らが行って迷子にでもなられたらたまったモンじゃねェ」
新「そもそも僕ら行くなんて言ってませんけどね」

なんて会話をしながら、俺はチャイナ娘から財布を受け取る。

土「うし…行くか。」
かと言って人混みの中、アイツを探すのは至難の技……取り敢えず、銀髪野郎を探す。
あんな目立つ髪色したヤツはいない。

その時。


銀髪の男が俺の前を横ぎった。
土「万事屋…!」

小さく呟き、おたおたと後を追う俺とは対象的にすいすいと人の波をかわし進んで行く銀髪。


ここで大声で「万事屋」と叫ぶのも恥ずかしい。
かと言って「天パ」なんて呼んだら、祭りに来ている天パ野郎全員に睨まれるだろう。


…銀……時?

銀時なのか…、銀時と呼ぶしかねェのか。
そんな風に考えて居る中も、銀髪はぐんぐん前へと進む。

土「ぎっ、ぎんと…!!」

パァン

名前を呼び終わる前に花火が鳴った、それとほぼ同時に手首に触れる汗ばんだ手。

銀「なァにしてんの、多串君」
土「……っ、財布を忘れた馬鹿に財布を届けに来たんだろーが…っっ!!」
銀「え、まじで?俺忘れてってた?」

あわあわと懐やらポケットやらに手を突っ込む。
土「だから届けに来たんだろ。」
銀「…有難ね、…トシ」

ドクン

鼓動が一瞬跳ねた気がした。

土「ひっ、人の事簡単に呼び捨ててんじゃねーよ…」
銀「へー、おあいこにしてあげたんだけどなァ」
と言いながら俺を見てニヤニヤ笑う。

土「嗚呼……そうかよ…」
ぶっきらぼうに返し、俺達はその場で手を繋ぎ花火を見つめていた。




fin...
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