拍手夢
□さねかずら
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彼女は泣きそうな声で言った。
『……恭弥…と。』
そんな!
信じられない……いや、信じたくない!!
「どうして?ねぇ、どうして?君はもう、僕の事が……嫌いなの?」
『違う。嫌いになんてならない…なれない、一生。』
じゃあ何で?
いつも絶やす事のなかった可愛い笑顔は消え、代わりに哀しそうな…涙が今にもこぼれおちそうな顔をしていた。
『私だけが、好きだから…。会いに行くのもいつも私。恭弥は応接室で待ってるだけ…。』
「……それが…哀しかったの?」
まさかこんなにも彼女を哀しめていただなんて、全く知らなかった。
『違う。…いいの。私は応接室で一緒に過ごせるだけで幸せだった。』
幸せ“だった”?……もう君にとっては全て過去の事なの?
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