拍手夢

□勿忘草
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ドイツのドナウ川の岸を、ある若い二人が歩いていました。


『ねえ、ルドルフ見て。綺麗な花。』


「本当だ。可憐な君にぴったりだね。」


『まあ、ルドルフったら。ふふふっ。』


「ちょっと、待ってて、ベルタ。今摘んで来るよ。」


『気をつけてね。』


「ははっ、大丈夫さ。」


騎士ルドルフは恋人であるベルタの為にその小さな花を摘もうと、川に近づきました。


とても綺麗な花です。ベルタの髪にさしたら、きっと似合う事でしょう。


「あっ!」


──ズルッ


『ルドルフッ!』


その花を手にした瞬間、ルドルフは足を滑らせてしまい、今にも川の濁流にのまれそうになってしまいました。


「ベルタ…っ!危ないから君は来ちゃ駄目だ!」


『嫌っ、ルドルフ、ルドルフッ!手を貸してっ!』


ベルタは精一杯手を伸ばしました。


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