拍手夢
□ゼラニウム
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「じゃあ、どうして泣いてるの?」
『…ごめんなさい。』
「謝らなくていいんだよ。」
きっと彼女は心根の優しい子だから、僕に面と向かって、嫌いと言えないんだろう。
『…私が泣いたのは、』
彼女は涙を袖で拭い、意を決したように僕を見据え話し出した。
『ゼラニウムをいらないって言われた時に、私の想いをいらないって言われたような気に、なってしまったから、です。委員長が私に対して、あまり良い感情を持っておられないのは、知っています。でも、これだけ言わせて下さい…』
若干顔が赤くなったように感じられる彼女は、さらに続けた。
『好きです。』
僕は、呆然としたまま固まってしまった。
『し、失礼しました。』
彼女は僕が固まっている間に、応接室を出て行ってしまった。
あぁ、こうはしていられない。今すぐに追いかけないと。
そして彼女に伝えるんだ。
──僕も君の事、ずっと前から好きなんだよ。
ゼラニウム
―花言葉は
「愛情」
⇒彼女視点
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