拍手夢

□胡蝶蘭
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困らせたかな、やっぱり明日からは来ないだろうな、いろんな事を考えながら屋上で横になっていたら、もう下校時間を知らせる鐘がなるところだった。

やっぱりこの時期の屋上は寒い。早く応接室に戻ろう。



――ガチャ

「あれ?」

応接室の僕のデスクの上に、さっきまではなかった小さなメモ用紙とそれの上に置かれた一輪の花があった。

胡蝶蘭だ、綺麗だな。

一体誰だろうと思いながらメモを見ると、見慣れた文字でこう書いてあった。

――明日からも来ます。よろしくお願いします。

直接言ってくれたらいいのに、なんて思いながらも、胡蝶蘭にたくされただろう彼女の気持ちを考えると、自然と口元が緩んだ。

明日も紅茶、誘ってみよう。

明日こそは、一緒に飲んでよね。

僕はそんなことを考えながら、一輪の胡蝶蘭にそっとくちづけをした。



胡蝶蘭
―花言葉は
「あなたを愛します」

Photo by季節の花300

2010年 1月掲載

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